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分厚いコードを壁のように鳴らす音も、ギターのボリュームを絞ると軽い歪みへ変わる音も、同じファズという名前で呼ばれます。ところが、選ぶ回路や前につなぐペダルによって、演奏したときの反応は大きく変わります。
この記事ではNano Big Muff Pi、Op-Amp Big Muff Pi、Dunlop FFM1、FFM2の定番4機種を紹介します。Big Muff系は1〜2万円台、Fuzz Face Miniは2〜3万円台を予算の目安に、厚いサステインが欲しいのか、手元で歪みを変えたいのかから選んでいきます。
ファズはBig Muff系とFuzz Face系で考える
音を厚く伸ばすならBig Muff系、ギター側で歪みを変えたいならFuzz Face系から聴き比べると、好みをつかみやすくなります。
Big Muff系は、深い歪みと長いサステインを使って、重いリフや伸びるリードを作る方向です。オルタナティブロックやシューゲイザーで、コードの響きを大きな塊として鳴らしたい場面に合います。
Fuzz Face系は、60〜70年代のブルースロックやサイケデリックロックを考えるとイメージしやすいタイプです。Dunlopはジミ・ヘンドリックスのFuzz Faceの使い方を、ギターのボリュームやピッキングによる変化とともに紹介しています。FFM1・FFM2は、その系統を小型ペダルで選ぶ機種です。
定番ファズ4機種の違い
サステイン、音色調整、ギターのボリュームへの反応を比べます。Big Muff系はTONEを使えますが、今回のFuzz Face Miniには音色ノブがありません。
聴き比べるときは、まずペダルのVOLUMEでオン・オフの音量差をそろえ、同じギターとアンプで短いコードと単音を弾きます。Big Muff系はSUSTAINを動かして音の伸びを、Fuzz Face系はFUZZを決めてからギターのボリュームを絞った反応を確かめてください。店頭で試すなら、普段使うチューナーを含む接続でも比べると、家で組み合わせたときの変化をつかみやすくなります。
横にスクロールして比較できます。
| 機種 | 音と回路の方向 | 調整できること | 選ぶ場面・制約 |
|---|---|---|---|
| Nano Big Muff Pi | NYC Big Muffの回路を小型化。厚い歪みとサステイン | VOLUME・TONE・SUSTAIN | 重いリフや伸びるリード。中域を独立して調整できない |
| Op-Amp Big Muff Pi | 70年代後半のオペアンプ版を再現 | 3ノブ+TONE BYPASS | 90年代オルタナティブの音の壁。TONEを外した音も選べる |
| Dunlop FFM1 | シリコン。明るく攻撃的な方向 | VOLUME・FUZZ | 荒いリードと手元の変化。前段のバッファーに注意 |
| Dunlop FFM2 | ゲルマニウム。温かいヴィンテージの方向 | VOLUME・FUZZ | ブルースロックと手元の変化。温度・接続環境も含めて選ぶ |
Nano Big Muff Pi|厚い歪みと長いサステインを小型で
Nano Big Muff Piは、NYC Big Muff Piの回路を小型の筐体へ収めたペダルです。SUSTAINで歪みと伸びを増やし、TONEで低域寄りから高域寄りへ音のバランスを変えます。
コードを厚く鳴らすオルタナティブロックやシューゲイザー、単音を長く伸ばすリードに使うなら、Big Muffらしい音の入口に選びやすい機種です。通常サイズのBig Muffを置く場所がないときにも使えます。
低音・中音・高音を別々に操作する構成ではありません。バンドで埋もれると感じたときは、SUSTAINだけを上げず、TONEとアンプの中域、オン時の音量も合わせて見直します。
Op-Amp Big Muff Pi|90年代オルタナティブの音の壁
Op-Amp Big Muff Piは、70年代後半のオペアンプ版Big Muffをもとにしたペダルです。Nanoとは増幅回路が異なり、厚い歪みの中でも、潰れた荒さや重いコードを狙う方向で比べたい機種です。
選ぶきっかけが明確なのは、スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンの音が好きな場合です。Electro-Harmonixの製品解説では、1993年の『Siamese Dream』でのオリジナル版の使用と、復刻版を弾くビリー本人の動画を紹介しています。
TONE BYPASSを切り替えると、音色回路を外した音も使えます。これはエフェクト全体のオン・オフとは別のスイッチです。ギター側のボリュームだけで軽い歪みからクリーンまで細かく行き来したいなら、Fuzz Face系も比べてみてください。
Dunlop FFM1|明るく攻撃的なシリコンファズ
FFM1は、1970年のFuzz Faceをもとにしたシリコントランジスタのモデルです。Dunlopが示す方向は、明るく攻撃的なファズ。丸い筐体の小型版に、LED、電源アダプター端子、電池交換用のふたを備えています。
VOLUMEとFUZZの2ノブに加え、ギターのボリュームを動かして歪みの変化を試す使い方が向いています。60〜70年代ロックの荒いリードを軸に、FFM2より明るい方向から選びたい方に合います。
TONEノブはないため、音の明るさはギターやアンプ側でも調整します。また、Fuzz Face系では、前に置いたバッファーによって手元の反応が変わることがあります。小型であることと、接続の自由度が高いことは分けて考えましょう。
Dunlop FFM2|温かいゲルマニウムファズ
FFM2は、1966〜68年ごろのFuzz Faceをもとにしたゲルマニウムトランジスタのモデルです。温かいヴィンテージのキャラクターを求めるなら、FFM1との聴き比べでこちらを中心に試してみてください。
ブルースロックのリードや、ギターのボリュームを戻して歪みを抑える演奏に向く方向です。操作はVOLUMEとFUZZで、LEDと電源アダプター端子も備えています。
Analog ManのFuzz Face解説でも触れられているように、ゲルマニウム回路では温度の影響も選ぶときの注意点です。毎回同じ設定で鳴らすことを優先するなら、接続環境や気温による変化も含めて比べましょう。FFM1とFFM2を「シリコンは冷たい、ゲルマニウムはよい音」といった優劣だけで決める必要はありません。
Fuzz Face系はチューナーの位置も確かめる
ギターの反応を活かすなら、まずFuzz Face系へ直接つなぐところから始めます。Analog Manのバッファー解説でも、ヴィンテージ型のFuzz Faceの前にバッファーを置くと、ボリュームを絞ったときのクリーンになる反応が変わると説明されています。
ボリュームを動かす→Fuzz Face Mini
まず直接つなぐ→チューナー・他のペダル→アンプ
チューナーを前に置く場合は、バイパス方式を確認し、チューナーなしの音とも比べます。
チューナーをオフにしても、バッファーが働く機種はあります。真のバイパスを選べる機種なら、その設定で前に置く方法も試せます。ワウと併用するときも、両方をオンにしてから順番を入れ替え、ワウの効きとギター側の反応を聴き比べます。
ワウも組み合わせたい方は、ワウペダルの音色・サイズ・踏みやすさの比較もご覧ください。ファズとの順番に加え、立ってオン・オフするときの操作も選ぶ手がかりになります。
Big Muff系を含めて「ファズはすべて先頭」と一律に決める必要はありません。回路と組み合わせたい音によって、順番を選びます。
欲しいファズの反応から選ぶ
厚いサステインならNano、90年代の音の壁ならOp-Amp、明るい手元の変化ならFFM1、温かい方向ならFFM2が選び方の目安です。
ギターのボリュームを使うか、踏んだ瞬間に大きな歪みへ切り替えたいか。曲の中でどう使うかを考えると、似た価格のファズでも選ぶ理由が変わります。アンプ側の歪みや音色も決めてから比べてみましょう。

