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ソロの後ろに短く音を残したい。アルペジオに、曲の拍へ合う反復を重ねたい。ディレイはどちらにも使えますが、欲しい音によって選ぶ機種は変わります。
ここでは2万〜3万円程度を中心に、BOSS DD-3T、TC Electronic FLASHBACK 2、BOSS DD-8、MXR M169 Carbon Copyの4機種を比較します。繰り返す音のキャラクターと、テンポを合わせる操作を軸に選んでいきましょう。
短く厚みを足すか、曲の拍に合わせるか
ディレイは、弾いた音を遅らせて繰り返すエフェクターです。短い時間に設定すれば音の厚みや跳ね返りを、長くすれば原音の後ろへ続くエコーを作れます。リバーブの残響とは違い、「弾いた音がもう一度聞こえる」間隔を調整できるのが特徴です。
音をはっきり繰り返すより、フレーズの周りへ響きを足したい方は、リバーブ4機種の残響と調整の違いをご覧ください。短い響きか長い余韻か、量と時間を別々に変えたいかで選べます。
ロカビリーやカントリーの短いスラップバックなら、反復を少なくして原音へ添える使い方から。ロックのリードには、フレーズの切れ目を埋める程度の反復。ポップスやアンビエントのアルペジオでは、拍と反復の関係まで決めると、演奏と効果がかみ合います。
マルチエフェクターやアンプにすでにディレイが入っているなら、まずTIME・反復回数・効果音量を変えてみてください。好みの音が作れて操作にも困らないなら、単体ペダルを増やす必要はありません。
反復の音色とテンポ操作で4機種を比較
デジタルはすべて硬い、アナログはすべて使いやすい、とは限りません。デジタル機にもテープやアナログ系の音色があります。回路方式と、実際に選べる反復の音色を分けて比較しましょう。
| 機種 | 反復の方向 | テンポ操作 | 接続・制約 |
|---|---|---|---|
| BOSS DD-3T | 明瞭なデジタルディレイ | 本体長押しからタップ、外部タップ対応 | モノラル入力、DIRECT OUTあり |
| FLASHBACK 2 | テープ・アナログ・Crystalなど | 本体タップは対応ファームウェアと設定が必要 | ステレオ入出力、MASHとの設定関係を確認 |
| BOSS DD-8 | 標準的な反復から特殊な効果まで | 本体長押しからタップ、外部操作対応 | ステレオ入出力、11モードにLOOPを含む |
| MXR M169 Carbon Copy | 反復が次第になじむアナログディレイ | DELAYノブで調整、本体タップなし | 最大600ms、モノラル入出力 |
横にスクロールして比較できます。
アンプ1台だけならモノラルで使えます。ステレオの広がりを録音したい場合は、ペダルの出力だけでなく、受け側の2入力と録音トラックの設定も揃えてください。
定番ディレイ4機種の音色と使いどころ
短いエコー、拍に合う反復、多彩な音色。普段の曲でいちばん使う音を中心に選ぶと、機能の多さだけで迷いにくくなります。
BOSS DD-3T|明瞭な反復と、分かりやすい操作を重視する
DD-3Tは、長く使われてきたDD-3の操作と音の方向を引き継ぎ、タップテンポを加えたデジタルディレイです。E.LEVELで効果音量、F.BACKで反復回数、D.TIMEで間隔を決めます。通常のディレイ時間は12.5〜800msです。
ロックのリードや、音の輪郭を残したポップスのアルペジオなど、基本のディレイを中心に使いたい人に向いています。テープの揺れや逆再生などの音色を次々と変えるより、繰り返す音の量とタイミングを決めたい人向けです。
本体ペダルを長押しするとタップ入力へ移り、設定した音符に応じた間隔を作れます。一方、DIRECT OUTは原音を分けるための出力です。左右の入力を受けるステレオディレイとしては使えません。
TC Electronic FLASHBACK 2|音色の種類とMASHを楽しむ
FLASHBACK 2は、テープやアナログ系から、きらめくCrystalまで8種類のディレイタイプと、3つのTonePrintスロットを備えたモデルです。TonePrintではアーティストなどの設定を読み込めるほか、対応エディターで細かく音を作れます。LOOPERも搭載しています。
クリーンのアルペジオ、ゆっくり広がるアンビエント、揺れを伴うエコーなど、曲によって反復の質感を変えたい人に向いています。MASHは踏み込む圧力を利用して、モードに応じたフィードバックなどのパラメーターを動かす機能です。
ただし、MASHと本体タップを、初期状態で同時に使えると考えないようにしてください。ファームウェア1.2の本体タップは、TonePrintアプリのProduct SettingsでMASHをオフにして有効にする方式です。長押しからタップ入力へ入るため、足元の操作を重視するなら、購入後に対応バージョンと設定を揃えます。
ここで扱うのは標準サイズのFLASHBACK 2です。MINIやX4は入出力や操作が異なります。販売先によって国内向け・並行輸入の扱いも違うため、保証条件まで比べて選びましょう。
BOSS DD-8|定番の反復から特殊なディレイまで広げる
DD-8は、STANDARD・ANALOG・TAPEなどに加えて、REVERSEやSHIMMER、リズミカルな変化を作るGLTなどを搭載します。11モードという数には、フレーズを録音して重ねるLOOPも含まれます。
基本のディレイを使いながら、曲の一部では逆再生や特殊な反復も入れたい人に向いています。ステレオ入出力があるので、後から録音や2台のアンプへ広げることもできます。片側出力だけで使う場合と両側を使う場合では、接続モードの選び方も確認しましょう。
本体タップにも対応しますが、小さな筐体の1ペダルでオン・オフとテンポ操作を使い分けます。演奏中に頻繁に切り替える人は、外部フットスイッチを含めた操作を考えると使い方を決めやすくなります。細かい設定を曲ごとのプリセットとして次々呼び出す用途とは分けて選んでください。
MXR M169 Carbon Copy|原音へなじむ短いエコーを作る
M169 Carbon Copyは、BBDを使う最大600msのアナログディレイです。DELAYで時間、REGENで反復、MIXで効果音量を決め、MODスイッチで反復音へ揺れを加えられます。
ロックやブルースのリードに余韻を添えたい、クリーンに短いエコーで厚みを出したい、といった使い方に合います。反復を原音と同じ輪郭のまま前へ出すというより、弾いている音の後ろへ置く方向で考えると選びやすいペダルです。
タップテンポには対応しません。また、600msを超える長い間隔は作れません。ただし、テンポ120の4分音符は500ms、付点8分音符は375msなので、600msだから拍に合わせられないわけではありません。曲ごとの細かな合わせ直しを足で行いたいなら、ほかの機種が向いています。
MINI、DELUXE、Brightなどの別モデルへ、ここでの時間や操作をそのまま当てはめないようにしましょう。
タップテンポと歪みの後の接続を確認する
最初は効果音を小さめにし、反復を少なくすると調整しやすくなります。TIMEを決めてから反復回数を増やし、最後に曲の中で効果音量を合わせてください。弾いている音が埋もれるなら、間隔より先に反復と量を下げてみましょう。
短いエコー
短いTIME+少ない反復+控えめな効果音量。リフやリードに厚みを添える方向です。
拍に合わせる反復
テンポと音符を決めてから量を調整。4分音符の時間は「60,000÷テンポ」で求められます。
4分音符が500msなら、付点8分音符はその4分の3の375msです。付点8分の反復を使う場合は、最初に短い単音フレーズで拍を確かめると、効果が演奏の隙間へ入る位置をつかめます。タップに対応する機種でも、入力した拍と反復の音符が同じとは限りません。
接続は、まず「ギター → 歪み → ディレイ → アンプ」から。先に作った歪みを繰り返すため、反復が分かりやすい並びです。アンプ側を大きく歪ませるときは、そのアンプのエフェクトループへディレイを入れる使い方も説明書で確認してください。
ノイズゲートで余韻まで途切れる場合は、ディレイをゲートの後へ置くと切り分けやすくなります。ノイズを抑える対象と、残したいエコーを同じ位置でまとめないことが大切です。
欲しい反復と足元操作から選ぶ
基本のデジタルディレイを分かりやすく使うならDD-3T。多彩な質感とMASHならFLASHBACK 2。ステレオ接続と特殊なモードまで広げるならDD-8。アナログの反復をノブで決めて使うならCarbon Copyです。
音色だけでなく、演奏中のテンポ操作まで試して選びましょう。毎曲合わせ直すのか、一つの設定を中心に使うのかで、同じ1ペダルの使い勝手も変わります。
録音後にディレイを調整したい場合は、パソコン側のプラグインで加える方法もあります。演奏時に反復を聴きながらフレーズを作りたいのか、録音後に量を決めたいのかを分けると、ペダルを買う理由も明確になります。
操作の確認先:DD-3T、FLASHBACK 2とダウンロード資料、DD-8、Carbon Copyのメーカー解説。

